東京にきて一番最初に感じたことは、田んぼがないことでした。一つくらいはございましたが、それでも猫の額ほどの小さなものです。

とても子供が遊べるものではありません。田んぼと言いますと、どうしても遊びということを考えてしまうのは、これはおそらく育ってきた環境のせいなのでしょう。

確かにこんな田んぼで遊んでいれば、大人の人に見つかれば叱られます。
それは当然のことなのですが、小さいころからそういう場所で遊んできた者にとっては、どうして怒られるのだろうと不思議に思うものです。

だって、認識が違いますから。それを初めて分かったのは、東京に越してきてすぐのこと。
近所の子供たちと近くにあった田んぼに入って遊んでいたときでした。

きっとその田んぼの持ち主さんなのでしょう、かなりお年を召した男性の方が出てきて、すごい剣幕で叱りつけたのです。

他の子供たちはいっせいに逃げてしまいました。でも、どうして逃げないといけないのだろうか、
と不思議に思ったものでした。そして、その男性の方にいろいろと説教されて初めて、ここでは遊んではいけないのだな、
と理解した次第です。少し変な感じでした。

生まれたところでは別に叱られた覚えはございませんでしたから、なかなか納得できなかったのです。

しかし、家に帰ってからそのことを母親に話すと、これまた叱られた。

そのようなことがあってから、東京というところはけっこう住みにくい場所だと思ったのです。